福山市北部市民大学　

第３４期（令和６年）入学式式辞

今年は桜の開花前に寒い日が続き，開花宣言がことのほか遅くなりました。

今，服部大池の桜は満開で皆さんの入学を祝ってくれているようです。そんな中

で福山市北部市民大学の第３４期の入学式が盛大に挙行されることを大変うれし

く思います。

会場には，来賓として北部支所長　清水直樹様，北部地域振興課長小林ひろのり

様にお越しいただくとともに，講師の先生方に錦上花を添えていただいて華やかに

開催できることを心から感謝申し上げます。

本日の入学式には，この市民大学が初めての学生のみなさんに出席して頂いてい

ます。皆さんには，市民大学の成り立ちや運営，生涯学習施設としての役割なども

含めきちんと説明しながらも，心温まる式典にしたいと思います。

先ず、当市民大学のなりたちです。４年前に創立３０周年を迎えました。当時生

涯学習の機運が高まっており，福山市北部地域の住民の皆さんから「身近で気軽に

学べる生涯学習の場を増やしてほしい」という熱い要望がだされました。そこで，

町内会連合会長　老人クラブ連合会長　公民館長さんなどで当大学の運営委員会

が組織され開校の運びとなりなりました。

直接運営の内容や方向性を決める運営委員会は，駅家町内の交流館長と事務局職

員で構成されています。

めったにないチャンスですから，ここで皆さんに紹介させていただきます。

最初に　駅家交流館　谷口館長です。

宜山交流館　　小川館長　

服部交流館　　佐藤館長

駅家東交流館　中井館長

駅家西交流館　山田館長

続いて，日々学生の皆さんのお世話をさせていただいている事務局の職員です。

井上副学長です。藤本事務局長です。松本事務局員です。鶏内事務局員です。

そして私は学長の吉川信政です。そして，学生会の後藤会長はじめ全役員が出席し

てくださっていて，駐車場の誘導や，式場の準備をしていただきました。

さて，地域の皆さんの熱意で開設された市民大学ですが，開学当時は，教室は十分

にはないし，コピー機も借り物で都合よく使えません，駐車場は狭くてみんなの車

が置けないなど，ないない尽くしでした。講師の先生方は本当に手弁当で教えてく

ださっていました。学生会からの中元と歳暮をお贈りする程度で教えていただくと

いう，まるでボランティアでした。今でもその伝統は生きていて，先生方にはわず

かな講師料で指導に当たっていただいています。開学して数年後に福山市北部市民

センターが完成したことで，この建物の活用が私どもに特別に許可されたのです。

駐車場が狭いとお叱りを受けることがありますが，私が四年前に勤めていた老人大

学の混み具合に比べると随分余裕があります。これ以上増やすことは無理ですから，

大学が決めたルールを守り，駐車場の当番の指示に従ってください。

建物の設備もよくなっています。およそ一億５千万円をかけてエレベーターの設置

をしていただき，皆さんが使用できるようになりました。

脚や腰が痛い人，三階まで重い学習道具を持ちあがっている人には大変ありがたい

設備となりました。長年の懸案だったエレベーターを設置していただけいたことは，

当市民大学のこれまでの取り組みを評価していただいたということとともに，これ

からも福山市北部の生涯学習施設として地域から必要とされる市民大学であり続

けなければならない責任も生じているといえます。

市民大学は，住民の熱意，講師の先生方の厚意，行政の後押し，そして明日が選挙

で忙しくて出席いただくことはできていませんが地元選出の市議会議員の先生方

の力があったからこそ今の北部市民大学ができたのです。

さて，「人生百年時代」と言われています現代における生涯学習施設としての市

民大学の意義です。

アジアでは人生を4期に分けて捉える考える方があるようです。まずは，一人前

になるために世間から学ぶ義務がある若き時期は，インドでは学生期というそうで

す。古く中国では青春と言われています。

次を家住期と言うらしく，世の中に出て生計を立て子孫を残す，最も忙しい時期の

ことです。中国で朱夏と言います。次は林住期です。社会から身を引き仕事や家庭

の細かいことから解放され，自由闊達に思索や活動ができる人生の黄金期です。中

国では白秋と言います。その後を遊行期というらしく，中国では玄冬と言います。

青春　朱夏（学生期　家住期）が上り坂，白秋　玄冬（林住期　遊行期）が下り坂

に作家の五木寛之さんは例えられました。充実した人生をおくるためには結構下り

坂をどう生きるかが大切になります。

　このヒントが市民大学の中にはたくさんあると思っています。

２６ある科目の中から興味や関心のある物を選び，852人の学生の皆さんと一緒

に学ぶのが市民大学です。講師の先生の素晴らしさに感心しながら，自らの知識や

技術を高める楽しみを味わっていただきたい。

そして，先生や一緒に学ぶ学生どうしのコミュニケーションを図っていただきたい

と思います。若い気持ちの維持だけでなく，認知症の予防に効果があると言われて

います。

私どもの市民大学の最高齢は今年９８歳になられるかたです。地域の書道教室に

通われていたが，家の近くにある市民大学の書道漢字の科目に入学されました。数

年後に卒業されまた今年度は筆あそ美に入りなおされました。自作の詩や歌を書道

の作品に仕上げるのを楽しみにしていられたこの人は，さらに高みを目指して再入

学されました。

学ぶのが好き，人と話すのが好きで，新聞に自作の詩の投稿もお好きです。時折市

民大学の事務室に来られてゆっくり話して帰られることがあります。地域の歴史が

得意で実に博学です。１００年近く生きてこられた足跡も楽しく話してくれます。

穏やかで話し相手を大切にされる等人に好かれる高齢者です。このように歳を重ね

て人生１００年時代を生き抜きたいものです。

もしかすると，超高齢者の地域貢献は，穏やかで愛され，人に頼った時は気持ちの

いい「ありがとう」の言葉が言えることなのかなと思います。

再度話すようですが，学ぼうとする意欲は心の元気につながるでしょう。自分の

好きなことや興味や関心を持つことにチャレンジすることは心の健康につながる

に違いありません。そして同じ趣味を持った仲間を増やして日常生活を豊かにし感

動ある生活を見つけていただきたいと思います。多くの感動や豊かなコミュニケー

ションはきっと人生に潤いを与えてくれます。このことがご自身の健康と地域の元

気につながるに違いありません。

「楽しい学び　つながる喜び　伝える感謝」のスローガンのもと学生の皆さんと一

緒になって大学づくりをしましょう。北部市民大学の活性化と皆さんの健康と発展

を祈って式辞とします。

本日は　入学　誠におめでとうございます。

２０２４年（令和６年）４月６日

　　　　　福山市北部市民大学　　　　学長　吉川信政